top of page

【高用量】スピンラザ治療体験談

【高用量】スピンラザ治療体験談  ~全国の会員より~

2025年秋発売のSMA新薬「スピンラザ高用量」を投与した会員家族より、
貴重な体験談が寄せられました。
患者の状態、投与までの経緯、実際の投与の様子や効果など、
差し支えない範囲で紹介しています。ぜひ今後の治療の参考にしてください。

【高用量】体験談3:SMA2型(女性)成人投与開始
【高用量】体験談4:SMA1型(女性)成人投与開始

【高用量 体験談1】 SMA2型(女性)12歳投与開始

【現況】

・SMA2型(17歳) 、女性

・脊椎後方固定術施行(14歳)

・電動車椅子使用

・NPPV夜間装着

【経過】

・訪問リハビリ開始(8歳)

・スピンラザ投与開始(9歳)

・高用量スピンラザ投与開始(12歳)

・HALの歩行リハビリ開始(15歳)

 

投与回数増加による変化

【メリット】

・投与を重ねるごとに筋力の増加(特に下肢の筋肥大)が確認できる。

・体幹の安定性が向上している。

・体力が向上し、疲れにくくなった。

・持久力が向上し、歩行リハビリにおける歩行距離の延長が見られる。

【デメリット】

・髄腔内注射による投与回数の増加に伴い、身体的・心理的ストレスが増える点が課題である。

 

実感している効果

【体力の向上】

・車椅子座位時間が延び、キーボード操作による肩こりが軽減した。

・学習時間が延長し、集中して取り組める時間が増えた。

・疲労が翌日に持ち越されにくくなった。

・HALによる歩行訓練において、歩行距離が伸びている。

【筋力の向上】

・体幹の安定性が明確に向上した。

・ふくらはぎの筋肥大が確認でき、臀部筋力の向上により補助便座が不要となった。

・指先の動きが速くなり、巧緻性が向上。

・タイピング練習(寿司打)では、秒速3.1→4.5回まで向上した。

リハビリとの関係

・スピンラザ投与後、約2週間~1か月の間に身体が温かくなり、力が湧く感覚がある。

・この時期にHALリハビリ(1クール9日間)を実施すると、筋力がつきやすいと感じている 。

・HALによる歩行訓練を通して、使う筋肉を意識できるようになり、自宅での訪問リハビリでも、小さな筋肉を意識した効果的なリハビリが行えるようになった。

【高用量 体験談2】 SMA2型(男性)13歳投与開始

【体験談】
「スピンラザ高用量投与を終えて」

 

【病歴・治療歴】
息子は現在13歳、特別支援学校中学部2年生です。  
1歳頃にSMA2型と確定診断を受けました。現在は夜間のみ人工呼吸器を使用しており、生活は全介助、移動は電動車椅子を使用しています。
その後、4歳からスピンラザ治療を開始しました。座位獲得はできていないため、医師からは「スピンラザ治療を受けて現在の状態がSMA2型くらい。もし治療を受けていなかったら、1.5型くらいだったかもしれない」と言われています。
また、5歳の冬からは脊柱側弯症に対するグローイングロッド伸長術も始まり、現在も定期的に手術を続けています。
グローイングロッドやスピンラザの手術や治療を受けさせていただいているおかげで、成長も著しく、よく食べ、体力もあり、元気に過ごしています。


【スピンラザ高用量投与について】
医師から高用量承認の話をいただき、すぐに切り替えをお願いしました。
スピンラザを17回投与後、18回目(13歳1か月)で高用量へ切り替えました。

 

★初回50mL投与後★
■ 本人が感じた変化(本人記録より)
〈投与3日後〉 ・手首が疲れにくくなった
〈投与7日後〉 ・お腹に力が入りやすくなった
〈投与20日後〉 ・ボードゲームの時に腕を上げやすくなった
〈投与23日後〉 ・音楽の授業で、以前より大きな声で歌えるようになった
〈3か月後〉 ・1年生の頃の体力テストより記録が伸びた  
 握力:0 → 2 / ボール投げ:25cm→55cm
■ 親から見た変化
〈投与18日後〉

・今まで食事は全介助だった息子が、「スプーンを持たせてほしい」と言い、自分で白米をすくって数回食べた。(数日のみでしたが、とても印象的でした)
〈投与21日後〉

・車椅子に座っている時、自分で足を前に出す動きが見られた (今までは引く動きが中心でした)
・キャスパーアプローチの座位保持中、自分で上半身の位置をずらしていることが増えた

 

【終わりに】
本人にも家族にも、目に見える変化がありました。正直、ここまで変化を感じるとは思っていなかったので驚いています。
また、4歳でスピンラザ治療を開始する前は遠視と乱視がありましたが、現在は両眼1.2まで回復しています。さらに、高用量投与後には本人から「耳の聞こえが良くなった気がする」という言葉もありました。
これらが治療による変化なのかは分かりませんが、普段あまり意識しない身体の細かな部分にも、何らかの変化があるのかもしれないと感じています。
日常生活が大きく変わったわけではありませんが、少しでも動けることが増えること、筋力がつくことは、これから先につながる力になるのではないかと感じています。
治療の効果や感じ方には個人差があり、経過もそれぞれ違うと思います。今回お話しした内容も、あくまでも我が家の一例として、少しでも参考になれば嬉しいです。

【高用量 体験談3】 SMA2型(女性)成人投与開始

 

 神奈川県在住の35歳、SMA(脊髄性筋萎縮症)タイプ2です。電動車椅子を使用し、家族やヘルパーさんの支援を受けながら生活しています。人工呼吸器は夜間のみ使用しています。 スピンラザ治療は2020年1月から開始し、2025年に高用量スピンラザが承認されたことを受け、2026年に高用量への切り替えを行いました。 私は電動車椅子サッカーの選手として活動しており、練習や大会のため国内外へ遠征しています。競技を続けていくためには、日々の体調管理や身体機能の維持、体力の向上が欠かせません。 今回は、高用量スピンラザへ移行して感じたことや変化について、私の体験をお伝えしたいと思います。

 

【スピンラザ投与のきっかけ、高用量への移行】

 2019年の年末にインフルエンザに罹患し、その影響で体力の低下を感じました。その後、主治医からスピンラザという治療薬について説明を受けました。 私は電動車椅子サッカーの選手として活動しているため、残存機能の維持や改善、そして競技パフォーマンスの向上につながればという思いから治療を受けることを決めました。 従来のスピンラザ(12mg)を15回投与し、16回目から高用量スピンラザへ切り替えました。今回は、高用量スピンラザ初回負荷投与(50mg)の体験談となります。

 

【投与時の詳細】

<検査項目> 採血・レントゲン・肺機能検査・心電図 <入院期間> 2泊3日(2日目に投与)

 1日目に各種検査を行い、2日目に投与を実施しました。投与当日は朝食までは通常どおり摂取できましたが、朝食後は絶食となり、水分のみ摂取が許可されました。 投与は手術室で行われました。手術台へ移動後、バイタルチェックを実施し、点滴ルートの確保はありませんでした。髄注時に長時間左側臥位を続けると呼吸が苦しくなる可能性があるため、事前に希望し、人工呼吸器を装着させていただきました。 左側臥位で軽くルンバール(猫背姿勢)をとり、穿刺部位を確認しました。穿刺部位が定まった後に局所麻酔を行い、髄注針を挿入して髄腔内へのアクセスを試みました。しかし、私には側弯があるためアクセスが難しく、途中で足や太ももに神経痛のような痛みを感じることがありました。 ただし、痛みが出た際にはすぐに針の方向を調整したり、必要に応じて麻酔を追加したりしてくださったため、強い痛みが続くことはありませんでした。

 また、手術室という環境による緊張や、同じ姿勢を保つことによる疲労があった際には、その都度数分間の休憩を取らせていただきました。 今回は髄腔内へのアクセスが難しく、最終的にはエコーを使用しながら、2〜3名の麻酔科医の先生が交代で対応してくださいました。その結果、無事に髄腔内へ薬剤を投与することができました。 投与については、過去の経験から薬液を速く注入すると頭痛が起こりやすい印象があったため、担当医にお願いし、2〜3分ほどかけてゆっくり注入していただきました。 従来のスピンラザ投与では、初期の頃は比較的スムーズに穿刺できていましたが、近年は穿刺に時間がかかることが増えています。それでも、これまで15回の投与を経験していることもあり、落ち着いて治療に臨むことができました。

【投与後の様子】

 投与後すぐに発熱と頭がぼんやりするような感覚がありました。病棟へ戻った後は1時間のベッド上安静となりました。投与後は頭を上げずに安静を保つよう指示があり、そのまま過ごしました。 安静中に頭のぼんやりする症状は徐々に強くなり、主治医へ相談したところ、高用量投与の影響もあり、めまい症状が強く出ている可能性があるとの説明を受けました。そのため、めまい止めと吐き気止めを服用しました。 安静解除後も、穿刺部の痛みや発熱、めまいは残っていましたが、食事は普段どおり摂ることができました。その後は早めに就寝し、身体を休めました。 翌日はリハビリ評価を受け、問題なく退院することができました。

【高用量の治療を受けて】

 今回、高用量スピンラザの初回負荷投与(50mg)を受けました。投与直後は発熱やめまいなどの症状がありました。従来のスピンラザ投与でも頭痛などの症状が出ることはありましたが、高用量では投与直後のめまいがこれまでより強く感じられました。ただ、症状は時間の経過とともに改善しました。 高用量に切り替えてから、私が最も効果を実感しているのは、呼吸の安定と運動時の持久力の向上です。

 私は電動車椅子サッカーの選手として活動していますが、以前は練習や試合が続くと疲労が蓄積しやすく、体調管理に気を遣うことが多くありました。しかし、高用量投与後は呼吸が安定し、長時間活動した際の疲労感が軽減したように感じています。 また、試合や練習中も以前より体力面に余裕を持ってプレーできる場面が増えました。遠征や連日の活動後の回復も早くなったように感じており、競技を続けていくうえで大きな変化だと感じています。

 もちろん効果の感じ方には個人差があると思いますが、私にとって高用量スピンラザへの切り替えは前向きな変化を実感できるものでした。今後も継続して治療を受けながら、身体機能や競技パフォーマンスの変化を見ていきたいと思います。 この体験談が、高用量スピンラザへの切り替えを検討している方やご家族にとって、少しでも参考になれば幸いです。

【高用量 体験談4】 SMA1型(女性)成人投与開始

SMA1型(19歳)の娘の経緯と、スピンラザ高用量の本人の感想です。
 

生後3か月からSMAを発症し、1歳前より在宅生活をしています。
発症当初からのゆるやかながらも動いていた手・足・表情が就学前母子通園施設、小、中・高と常に娘に付き添っている生活の中で少しずつ、しかし確実に動かなくなっていく様をやり切れぬ思いで見続けていました。

乳児期頃には感情に合わせた表情が作れていましたが作る事ができなくなりました。
人工呼吸器のリークを利用してのわずかな発声は小学校低学年時には出せなくなりました。
目視可能な大きな動きは、手の親指の「いいね!」の動きだけでしたが、そちらも小学校時代になくなりました。幼児期よりコミュニケーションの手段を視線の動きから拾っていたので、生活上のコミュニケーションは取れていましたが、外部の方の反応は「目の動きは曖昧で選んでいるか、よくわからない」と言われてしまい、娘は頑張って視線を上へ横へとしてくれているのにと悔しい気持ちでいました。

スピンラザ治療は12歳から開始しています。
治療初回に本人が好きな動画とか見ていていいからと、主治医の温かいお声から母も透視室内滞在となりました。横を向き、麻酔からはじまると、みるみる脈があがりアラームは鳴りっぱなし、涙、鼻水、痰などが吹き出し、その対応者として母は必須となりました。本人へ聞くと「怖い怖い」と。そこで、背中側で起きている治療の要所を撮影し、写真や動画を本人に見せ伝えることに切り替えたところ、脈も痰もおちつき、真っ赤な顔色も戻ってきました。以来、治療毎に治療の進行を自分で見て確認する事を続けています。自分の身に起きていることを「知りたい・理解したい」という気持ちに私が気づけてよかったです。

真横を向く姿勢のキープはSMA1型の人にとっては大変難しいことです。沢山のバスタオルが透視室にはあるのですが、どんどんと使っていいよと言っていただき、肩のみならず足や手なども高さを可変して、本人にとって辛い姿勢の負担を逃して治療時間を乗りきっています。


透視室のベットは上下に動きます。そこでベット部の動きがストレッチャーからのびる呼吸器回路を引っ張りそうになるため、二次的なアクシデントが起きこさぬ管理も、母が滞在できることで注意を払えています。治療を担う医師はいつも詳しく様々なお話をしてくださいます。病棟のお部屋を準備してくれる看護師さん、評価を担う理学・作業の先生、採血・点滴を取るベテランナース(娘は採血が難しさ最難関だそうで)、透視室の技師さんなど長年同施設治療をしているため、皆さんが慣れてくださっていて、親子共に大変信頼をおいて治療へ望めていることも、継続できている点だと感じています。

治療効果は一足飛びには現れませんでしたが、着実に”動き”が数年かけて出現しました。
はじめ、指先がゆれて見えたのは勘違いか?と思うような小さな小さな変化でした。すぐさまその小さな動きで操作できるスイッチや、意思伝達装置を用意したことで、自己発信力が各段に高まりました。片足側の二本の指が”こする”ように動き始めたところから、周りの指、足の甲、逆の足へとどんどんと動かせる箇所が増えていきました。今は操作できるスイッチも二つに。また、口角も僅かに「にっ」とくぼみが出現。額の表皮も動いていることが目視できるように。いつかは表情を作る事が戻ってきたら、周りへあたえる印象も随分と変わってくるに違いありません。

 

 

2025年12月より、スピンラザ高用量へと切り替え、現在2回投与をしました。
本人とは日々、訪問リハの時間やスイッチを付ける時間に、高用量の効果がでてきているかな?と楽しみにする会話を交わしています。高用量の効果はすでに顔つきや足首の動きに出ていると感じています。きっとまた彼女の生活がより一層豊かになるでしょう。介護を受け続けなくてはならない不自由な体であっても、自分らしく生きる楽しみを持ち、「高用量の効果がいずれ出てくる」と強い心で期待をもっています。

以下は本人がファインチャットにて作成したコメントです。

『わたしは(高用量)すぴんらざでもっと(体を)うごかせるようになったら/すいっちではなしがうまくもっとはなしたり/みんなでげーむしたいです。

げーむはむかしぷよぷよとまりおかーとやったことありますけど/もっとわたしのすいっちのつなぐさきをすいっちつうにつないで/たとえばまりおぱーてぃーのりずむのげーむでじぶんであしのすいっちでおせるげーむがあればやりたいです。
 

おはなしはいまはふぁいんちゃっとではなしてますが/ええあいでそうだんしたりしらべたいです。あいぱっとでちゃっとぴーとかしらべたいなとおもってます。
 

それにわたしのからだにへんかがありました。たとえばくちがまえよりおおきくわらってるよとか/めがおおきくうごいてるよとか/べろがくちべににさわってるよとかいってくれたのがうれしいです。


こうようりょうのおかげで/うごくとこがもっとふえたってことは/うごけるかなってわたしもまわりのひともきたいが/できるようになったのでたのしみしてます。
スピンラザはいたいしいくのもやだけど/そのもくひょうにむけてがんばります。』


 

SMA家族の会の長年の要所への働きかけにより、私たちは適切な情報に触れられることにも大きな感謝を感じています。娘のことばにある「治療は痛い、でも自分には目標があるからがんばる」というメッセージが、仲間たちに届くとよいです。

【高用量】体験談2:SMA2型(男性)13歳投与開始
bottom of page